2009年3月11日水曜日

我が祖国ニッポンの寛容性が試されている

 出稼ぎのため、他人名義のパスポートで不法入国したフィリピン人の両親から日本で生まれたカルデロン・のり子さん。両親とともに日本で暮らすことを望んでいるが、東京入国管理局から家族全員で帰国するか、ひとりで日本に残るか迫られている。まだ中学1年生だというのに・・・。父はとうとう強制収用されてしまったようだ。

 何とかならないものか。建前は違法でも裏では安い労働力として働かされてきたのが外国人労働者ではないのだろうか。

 僕が大学生の時に、ちょうどのり子さんの両親が日本にやってきたようだが、新宿下落合に学徒援護会の会館があって、いろいろなアルバイトを紹介・斡旋していた。お金がなくなるとそこへ行き、さまざまなアルバイトをしたものだったが、例えば、倉庫での整理作業などに行くと、必ずと言っていいほど、イラクやイランやパキスタンやタイやフィリピンの人たちが一生懸命働いているという場面に出くわした。仕事ぶりを見ていると、まじめそのもので、われわれ大学生のアルバイトの1.5倍から2倍は働いていた。不法入国か不法残留か、はたまた在留資格を持っていたかは定かではなかったが、彼らが日本の底辺労働を低賃金で支えていたのは確かである。

 最近の「派遣切り」ではないが、用がなくなったら「使い捨て」・・・。日本に寛容性はなくなってしまったのだろうか。

 ボブ・ディランにも影響をあたえたアメリカを代表するフォークシンガーのウディ・ガスリー(Woody Guthrie)は労働者の権利などの人権をテーマした曲を多く書いているが、その代表曲である『This Land Is Your Land』(我が祖国)には以下の歌詞がある。


As I was waiking, I saw a sigh there,
And on the sigh it said, “No Trespassing ”
But on the side it didn't say nothing,
That side was made for you and me.

歩いていたら、立て看板に出くわした
その看板には「立入禁止」と書いてあったが
裏側には何も書いてなかった
その裏側のほうこそわれわれのためにある

(ピーター・バラカン著『Rock Between The Lines
 ロックの英詞を読む』より)


 法務大臣はカルデロン・のり子さん家族の在留特別許可を出すべきだ。